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仮面鬱病

57歳女性。昨年末に腰痛を発症し、整形外科を受診。レントゲン検査では腰椎に異常は見つからず、その整形外科での診断は、「ただのギックリ腰でしょうから、しばらく治療すれば良くなりますよ」。

しかし、治療を継続しても一向に腰の痛みが改善する気配はなく、逆に、だんだん悪化している様子。その為、鍼灸院に通い、何度か治療を受けてはみたものの、悪くもならなければ、良くもならず。思いつくままにカイロや整体などを転々としているうちに腰痛がひどくなったそうです。

知人から漢方医を紹介され、漢方薬を服用するようになってからは、腰痛はいくらか落ち着いて来たのですが、なかなか思うような結果が得られません。そこで、その漢方医の紹介で当院にお見えになりました。


問診をしてみると、腰の痛みで目が覚め、台所に立っているだけで腰が痛くなり、前屈姿勢を取るとさらに痛みが増悪。また、同じ姿勢を維持したり、歩行時でも腰が辛くなるとのことでした。その他の愁訴は、「不眠」、「食欲が無い」、「体が怠い」、「便秘」、「小便が近い」、「頚・肩が凝る」。血圧が高く(160−100)、降圧剤を服用しています。

腰椎椎間板ヘルニア、腰椎圧迫骨折、腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離症、腰椎滑り症など、腰椎に器質的病変のある腰痛は、それなりの技術がなければ治すことは出来ません。しかし、器質的病変が見つからない腰痛は、高度な技術が無くても治せるものです。

それにも関わらず、この方のように鍼灸・カイロ・整体・漢方の治療をもってしても症状の改善が見られないのは、精神症状(気分・感情)が関与しているからに他なりません。これは腰痛に限ったことではなく、他の症状にも共通して言えることで、「どの医療機関を受診しても私の病気(愁訴)は治らない」と話す方の中には精神症状が関与しているケースが少なからずあるのです。


さて、この方の治療ですが、まず、気分障害(気分の落ち込み)を是正する為に足の陽明胃経の伏兎穴と足三里穴を補い、右の内庭穴を瀉し、左の内庭穴を補いました。そして、腹診により、御本人も気づいていない鬱の主因となっている感情を“怒り”と診て、足の厥陰肝経の陰包穴を補い、曲泉穴(右)、行間穴(左)を瀉しました。

また、 この方の骨盤は右が前方に、左が後方に回旋しており、この骨盤の歪みが腰痛としての身体症状の主因であるので、骨盤の歪みを調整する為に足の少陽胆経の風市穴(右)、陽陵泉穴(左)を瀉しました。

加えて、不眠に対処する為に、足の太陽膀胱経の申脉穴(右)、殷門穴(左)を瀉し、頻尿に対処する為に、委陽穴を補いました。高血圧に対しては、足の少陰腎経の照海穴を瀉し、手の太陰肺経の太淵穴(右)を瀉しました。


【治療開始から28日目・治療回数5回】
  「大変楽になり、腰の痛みで目が覚めることもなくなりましたし、台所にも長時間立つことが出来るようになりました」。

よく眠れるようになり、食欲も出て、易疲労感もなくなり、便秘も解消したとのことです。血圧は、最高血圧が146mmHg、最低血圧が76mmHg。

【治療開始から54日目・治療回数9回】
  「しばらく調子が良かったのですが、昨日から少し腰の痛みを感じるようになってしまいました」。

脈診、及び、腹診により、足の厥陰肝経のバランスが逆転していることが確認出来たので、今まで行っていた曲泉穴(右)、行間穴(左)の瀉法を、行間穴(右)、曲泉穴(左)の瀉法に替えました。加えて、気の巡りを良くする為に手の太陰肺経の侠白穴と尺沢穴を補いました。

【治療開始から75日目・治療回数12回】
  「だいぶ良くなったので遠出をしてみたのですが、帰路の途中、腰が痛み始めました」。

足の厥陰肝経のバランスが前回と比較して微妙にずれてきていることから、行間穴(右)の替わりに中封穴(右)を瀉しました。加えて、足の太陰脾経の箕門穴を瀉しました。

その後の経過は順調で、血圧も最高血圧が概ね150mmHg以下、最低血圧が80mmHg以下で落ち着いています。ただ、少々無理をして疲労を溜めてしまったり、精神的に負担のかかるようなことがあったりすると、腰痛が出てしまうようです。

各経脈のバランスをこまめに整えていくことで、愁訴はもちろん、隠れている鬱も徐々に改善していきます。気分障害の関係している疾患は、早急に結果を求めて悪化させることのないよう、細心の注意を払いながら治療にあたることが重要です。


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