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不妊症 14 (自然妊娠)

42歳女性。40歳の時に婦人科を受診し、フーナーテスト、子宮卵管造影等を行ったものの、異常は見つからなかったとのこと。ホルモン値は概ね正常範囲内。ご主人にも検査を受けてもらったところ、精液性状は基準値をクリアしており、何ら問題はなし。人工授精や体外授精については、「そこまでして子供は欲しくない」というご主人の意向で行う予定はないとのことです。

既往歴としては花粉症があるぐらいで、これまで大きな病気を患ったことはなく、手術経験も無し。大小便は正常で血圧も正常値。月経は28〜30日周期で月経痛はありません。


脈診をしてみますと、両側ともに石脈。不妊症の方の多くはこの「石脈」を呈しているのですが、これは視床下部・脳下垂体と卵巣との連携システムに不具合がある時に現れる脈状で卵子の生命力が弱い状態を示します。

腹診で、卵巣、子宮の状態を確認しますと、卵巣、 子宮ともにやや虚しています。さらに、卵巣、子宮に関連の深い足の少陰腎経、足の太陰脾経の虚実、基礎体温に関連の深い手の陽明大腸経、足の太陽膀胱経のバランスを確認したところ、高温相に問題がありそうでしたので伺ってみると、「低温は良いのですが、高温はダメです」とのこと。


また、花粉症があるので、足の厥陰肝経、足の陽明胃経、足の太陽膀胱経、手の太陰肺経の虚実を確認し、以下のように取穴しました。

 
足の少陰腎経 太谿穴、上陰谷穴(塚原私穴) 下陰谷穴(塚原私穴)
足の太陰脾経 太白穴、三陰交穴
足の厥陰肝経 太衝穴、陰包穴
足の陽明胃経 足の三里穴 伏兔穴
足の太陽膀胱経 殷門穴 崑崙穴、委中穴
手の陽明大腸経 合谷穴
手の太陰肺経 侠白穴、太淵穴


【治療開始から28日目・治療回数5回】
  月経18日目。高温相がきれいになったとのこと。脈状が石脈から沈脈に変わりました。

【治療開始から35日目・治療回数6回】
  月経初日。月経周期が25日と短かったので足の太陰脾経・血海穴にて調整。脈状は沈脈。

注目したいのは、前回の高温相時の沈脈が周期がかわっても維持できていることです。脈状がこのまま安定していれば、それは視床下部・脳下垂体と卵巣の連携システムの異常が改善され、生命力のある卵子が出来る環境が整ったことを意味するからです。

また、卵子を包む卵胞は、月経の時に5〜10数個が同時に生まれます。そして、およそ70日かけて発育するなかで最も生命力のある一個だけが成熟卵胞となって排卵に至ります。

月経が始まって2〜3日のうちに卵胞は生まれるので、28日周期でしたら次の次の月経で56日目、そこから14日経って排卵するとちょうど70日目にあたります。

そこで、「このままの状態が続けば、次の次の生理の後、妊娠できるかもしれませんよ」とお伝えしました。

【治療開始から63日目・治療回数10回】
 

月経は28日周期。脈状は沈脈。


【治療開始から91日目・治療回数14回】
  月経2日目。27日周期。脈状は沈脈。13日目にタイミングを取ってみたようですが、「先生が仰ったとおり、ダメでした」。

【治療開始から105日目・治療回数16回】
  月経16日目。脈状は沈脈。4日前と2日前にタイミングを取ってみたものの、不安な様子。

【治療開始から119日目・治療回数18回】
  月経30日目。未だ生理が来ていないものの、「下腹が重く、なんとなく来そうな感じ」とのこと。

脈状は沈動。沈脈に動脈が加わっているので妊娠している可能性は十分にあります。また、腹診にて子宮、卵巣の状態を確認したところ、やや実を呈しています。

そこで「一週間様子をみて頂いて、生理が来ないようでしたら婦人科を受診してみてください」と、お話ししました。

【治療開始から133日目・治療回数19回】
  「先ほど病院に行ってきたのですが心音が確認できました」と嬉しいご報告。6週目に入ったことになります。

脈診をしますと動脈を呈しています。この「動脈」は妊娠初期に現れる脈状です。そこで、母胎維持のために以下のように取穴しました。
 
足の少陰腎経 太谿穴、上陰谷穴(塚原私穴)
足の太陰脾経 太白穴、三陰交穴 血海穴
足の厥陰肝経 太衝穴
足の陽明胃経 足の三里穴
手の陽明大腸経 臂臑穴
手の厥陰心包経 大陵穴
手の太陰肺経 侠白穴、太淵穴


この方の場合、医療機関の検査ではご夫婦ともに異常はありませんでした。それにもかかわらず、二年経っても妊娠に至らないのは卵子に生命力がないからに他なりません。

現代医学には“卵子に内在する生命力”という概念が無い為、医療機関の検査でご夫婦ともに異常がなければ対処のしようがなく、そのまま人工授精や体外授精を勧めることになります。しかし、根本的な原因が解決できていない状態で人工授精や体外授精を行うわけですから、妊娠に至るのは極稀です。

逆に、身体のバランスを整え、生命力のある卵子が出来るようになれば、負担の大きい人工授精や体外授精に頼らなくても妊娠・出産に至る可能性は十分にあります。


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